今回のテーマは「禁煙」です。
喫煙には、自動喫煙と受動喫煙があります。
自動喫煙とは、自身がタバコを吸うことで、受動喫煙とは他人が吸っているタバコの先からの煙や、その人が吐き出した煙を吸うことを言います。自身がタバコを吸わなくても、受動喫煙も自動喫煙に匹敵するほど発癌などのリスクが高まると言われています。
受動喫煙は、二次的にタバコの煙を吸ってしまうことから、セカンドハンドスモークと呼ばれます。さらに、喫煙した人が屋内に戻ってきてタバコの匂いがしたり、ソファーやカーテン、服などからタバコの匂いがした経験をお持ちの方は少なくないでしょう。環境面に残留しているタバコの匂いの中にも有害な成分が含まれていることが分かっており、その匂いを吸い込んでしまうことをサードハンドスモークと呼びます。
昨今、飲食店の禁煙化はかなり進んだでしょうか。「分煙」という方法がありますが、お店で禁煙席と喫煙席があり、禁煙席に座ってもタバコの匂いがした経験があると思います。匂いがするということは、上記のセカンドハンドスモークないしサードハンドスモークの状態であることを意味し、分煙では受動喫煙をゼロにできないことが分かります。壁で完全に隔ててしまう「完全分煙」という方法もありますが、従業員の受動喫煙は避けることができません。やはり、屋内の完全禁煙化が重要となります。海外ではバーの完全禁煙を実施している国もあり、禁煙化による飲食店の収益の悪化は認めなかったとの研究結果も報告されております。
タバコは吸い始めると禁煙するのが難しいので、吸い始めないのが一番です。そのためには未成年者に対するタバコについての啓発も重要で、当院としても小中学生や高校生などに対するタバコについての学習会に取り組んでいければと考えております。保護者の方が喫煙をしていると、お子さんの将来の喫煙率が上がるとの報告もあり、また、保護者の方の喫煙がお子さんの中耳炎や気管支炎、喘息発作の一因となるリスクもあります。
当院では禁煙外来を実施しております。禁煙治療を始めようかな、と外来に来ていただいた時点で50%はすでに成功している、と診察室で説明しております。禁煙治療にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。